桜門技術士会設立20周年記念誌 祝辞
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桜門技術士会設立20周年を祝して
 桜門技術士会設立20周年のお祝いを申し上げますと共に、日本大学学生及び卒業生に対する技術士資格取得に係るご指導等をいただいておりますことに感謝申し上げます。

 なお、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う被害等に関わり、日本大学、特に、工学部に対して桜門技術士会会員の皆様方から様々なご支援をいただきました。心から厚く御礼申し上げます。又、多くの会員が被災地域の復旧・復興活動に従事されていることと思います。そのご苦労に深甚なる敬意を表する次第です。

 さて、工学部では、「ロハスの工学」をキーワードとして、教育・研究活動を展開しております。「LOHAS:ロハス」とは、“Lifestyles of health and sustainability”の頭文字をとったもので、「健康と持続可能性の暮らし方」と訳され、それを支援するための工学的アプローチを試みようとする思いがこのキーワードにこめられています。
 教育に関しては、「ロハスの工学」、「生物と環境の共生概論」、「水資源工学」、「環境と情報」などの科目を配置すると共に、様々な機会に学生に対してその概念を伝え、ロハスエンジニアになろうと呼びかけています。研究面での工学的アプローチとは、ロハスという観点からの要素技術の研究・開発と、その成果の統合であるととらえております。それを具現化したものとして、「(愛称)ロハスの家」の研究プロジェクトや、次世代工学技術センター(NEWCAT)での「医用機器及び医療診断機器の開発研究」、環境保全・共生共同研究センターでの「地域における社会環境基盤の保全と防災力向上を目指した戦略的なマネジメント手法の提言」などの研究を推進してきました。

 一方、工学部は郡山という地方中核都市に存在する大学組織であり、その位置づけは、研究活動と大学生に対する教育活動はもちろんのこと、それらの活動を通じて地域に貢献することであります。地域の企業、市町村などの公的機関との連携によって、これまでも様々な「もの(物)づくり」や「こと(事)づくり」が実現しており、工学部が持つ知的財産と学生という資源を活用して、地域の活性化に貢献したいと考えております。最近では、福島県並びに郡山地域テクノポリス推進機構と共に、福島県内の製造業で働く中堅技術者を対象とした「マイスターズ・カレッジ」を継続して開催しており、平成21年からは、地域の小中学生を対象とする「ちびっ子マイスターズ・カレッジ」を開催して、子供たちに、工学の面白さを伝える活動も始めました。

 そんな中で、東日本大震災とその後に起きた原発事故は我々に様々な問題を提起しました。しかし、このような時だからこそ、工学部が掲げている「ロハスの工学」は、地域復興と社会の発展のために不可欠な教育・研究活動のテーマであると考えております。その一環として、平成24年3月10日には、『「ロハスの工学」による“ふくしま”の復興を考える~日本大学工学部の果たすべき役割~』という市民公開シンポジウムを開催しました。又、平成24年4月1日には、学内に、「ふるさと創生支援センター」を開設しました。学生諸君には、さまざまな自然災害や今回のような放射能汚染に対し、技術者としてどのような知識と技術が必要かを座学と実践を通して学び、それぞれの「ふるさと」での「地域の創生」にその知識を生かして欲しいという願いと、工学部研究者の成果が「ふるさと創生」に役立つことを願って命名したものです。センターには、放射能濃度を測定するための「ゲルマニウム半導体検出器」と「シンチレーション検出器」を備えた放射能測定装置を整備しました。センターの主な活動は、すでに実施している「放射能と放射線」に関する講義や実験を行う教育活動、並びに学生食堂で扱う食材と飲料水の放射能濃度測定とホームページ上での公開のための安全・安心活動であり、更に、放射能汚染に限定せず、災害の復旧・復興にかかわる幅広いテーマを募集して研究活動を推進する予定です。

 今後とも、桜門技術士会会員の皆様には、工学部の教育・研究活動に対しご指導・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 最後に、桜門技術士会のますますの発展と会員諸氏のご活躍を祈念いたします。
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